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      割増賃金計算の注意点

割増賃金とは?
賃金が年俸制、月給制、日給制、時間給制のいずれの形態をとっていても、割増賃金は全て時間給に換算して算定しなければなりません。
  午前5:00〜昼〜午後10:00
(深夜労働時間以外の時間帯)
午後10:00〜夜〜午前5:00
(深夜労働の時間帯)
法定時間外労働 2割5分増し 5割増し
法定休日労働 3割5分増し 6割増し
法定時間外労働又は法定休日労働に該当しない深夜労働は2割5分増しで足ります。

法定休日労働に対しては1日の労働時間が8時間を超えても時間外労働とはなりません。
例えば、時給800円の労働者に時間外労働をさせた場合
1時間当たり1,000円(800円の2割5分増し)の残業手当を支払う必要がありますが、この残業手当のうち割増賃金に該当するのは200円(2割5分増し)の部分だけです。
残業手当の残りの800円の部分は、割増賃金ではなく追加賃金ですので注意して下さい。
なぜこのようなことを言うのかと言いますと・・・・・、
例えば、先述した時給800円の労働者の1日の所定労働時間が7時間だったとします。
この労働者に2時間の残業をさせた場合、その残業手当は、2時間分の追加賃金(1,600円)と1時間分の割増賃金(200円)の合計1,800円を支払えば足りるからです。

法律上、割増賃金の支払義務が生じる時間外労働とは、その会社の所定労働時間を超えた労働時間ではなく、法定労働時間(1日8時間又は1週40時間)を超えた労働時間です。
ですので、所定労働時間を超えて労働させても、法定労働時間内の場合は、割増賃金の支払は不要で、その超過時間に応じた追加賃金のみを支払えば足ります。


また、この労働者に7時間の休日出勤をさせた場合、その翌週に代休を付与しても、1,960円(280円×7時間)の割増賃金を別途支払う必要があります。

休日出勤させる前に休日の振替を行なっている場合は1,960円の割増賃金支払は不要です。
また、週休2日に対して1日だけ休日出勤させても、週40時間を超えた労働時間に対する2割5分増しの割増賃金の支払で足ります(3割5分増しの割増賃金の支払は不要です)。
3割5分増しの割増賃金は、その会社の所定休日労働に対して支払うものではなく、法定休日労働(4週4日の休日が取れなかった場合)に対して支払うものだからです。


追加賃金の不払には労働基準法第24条違反(罰金刑のみ)が適用されます。
また、割増賃金の不払には労働基準法第37条違反(懲役刑と罰金刑の両方有り)が適用されます。


割増賃金計算時における注意点
以下に割増賃金計算時における注意点を列挙します。
1.年俸制又は月給制の従業員の割増賃金計算
年俸制や月給制で働く労働者の割増賃金を算定する為には、まず1ヶ月平均の所定労働時間を算出した上で、その従業員の時間給を算出する必要があります。

年俸制・月給制労働者の時間給 = その労働者の月給額 ÷ 1ヶ月平均の所定労働時間

1ヶ月平均の所定労働時間    = (365日−年間の所定休日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月

※「年俸制又は完全月給制なので残業代支払不要」という理屈は労働基準監督署では通用しませんので注意して下さい。
逆に、完全年俸制又は完全月給制であっても、遅刻・早退・欠勤等が有った場合は、当然にその時間分の賃金を所定の賃金から控除することが出来ます。

年間賞与分を含めた年俸制を採用している場合、その賞与分も割増賃金の算定対象賃金とみなされます。
これは、労働法では予め年間支給額が確定している賞与は、例え1年間に1〜3回に分けて支払われるものであっても賞与とはみなされない為です。


部門長などの管理監督者についても、深夜労働に対しては2割5分増しの割増賃金の支払が必要です。

2.労働時間が2暦日にわたる場合の割増賃金計算
この場合は、原則として始業時刻が属する日の労働時間として時間外労働時間を算定します。
但し、その労働時間が翌日の所定の始業時刻以降に及んだ場合は、前日の労働時間はその所定の始業時刻をもって打ち切りとなります。

休日労働がその翌日まで及んだ場合の割増賃金計算
休日労働に対する3割5分増しの割増賃金については「暦日単位」で算定します。
例えば、法定休日となる日曜日に休日出勤をさせてその労働時間が翌月曜日まで及んだ場合、その休日深夜労働に対する6割増しの割増賃金の対象時間は日曜日の午後24時迄です。 月曜日の午前0時以降の労働時間に対しては2割5分増しの深夜労働割増賃金のみを支払えば足ります。

3.固定残業代を含めて基本給や諸手当の額を定めている場合の注意点
例えば、固定残業代を営業手当などに含めて支払っている場合、その残業代が何時間分の残業代に相当するのか、及びその額(内訳)を賃金規程又は労働条件通知書などで明確に規定していないと、固定残業代を含んだ営業手当の全額が割増賃金の算定対象賃金とみなされてしまいます。

4.割増賃金の算定対象賃金から除外出来る諸手当
基本給のみならず、原則として諸手当も割増賃金の算定対象賃金に含めなければなりません。 但し、次に掲げる諸手当に限り、割増賃金の算定対象賃金から除外することが出来ます。
(1)家族構成に応じて支給可否と支給額が決定される家族手当及び子女教育手当
(2)交通費実費又は通勤距離に応じて支給額が決定される通勤手当
(3)単身赴任者のみに支給される別居手当
(4)家賃又は住宅ローンの額に応じて支給可否と支給額が決定される住宅手当
(5)支払期間と計算期間の両方が1ヶ月を超えている手当

特に中小零細企業においては、過去の様々な経緯から非常にたくさんの種類の諸手当が「調整給」として支給されているケースがよく見受けられます。
これらの諸手当を割増賃金の算定対象賃金から合法的に除外する為には、上記の(5)に該当するようにその諸手当の支払方法を変更する必要が有ります。
但し、月額で定めた諸手当を3ヶ月毎に3ヶ月分一括で支払うやり方では上記の(5)に該当しません。

5.残業代計算時における残業時間の端数処理
残業代を計算する際の残業時間は、1日単位でその都度端数処理(例:15分未満切捨てなど)をすることは認められません。
最終的な残業代の計算時に、その賃金計算期間中の累積(合計)残業時間に対してのみ端数処理(例:30分未満切捨て)を行なうことが出来ます。

労働基準監督署は「1分でも残業をさせれば残業代の支払が必要」という論理ですので、例えば、所定の終業時刻から10〜15分間を休憩時間として定め、その休憩時間終了時から残業時間をカウントする、と就業規則などで定めれば、その休憩時間内の超過時間(タイムカード上での打刻時間)は全て無視することが出来ます。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所