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      トラック運転者の労務管理(労働基準)の注意点

トラック運転者の労働時間等の改善基準
トラック運転者の労働条件及び労務管理については、厚生労働省(旧労働省)から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が告示されています。

この告示の内容を理解(把握)する為には、まず次に掲げる労務管理用語の意味を理解する必要が有ります。
拘束時間=始業時刻から終業時刻までの時間
労働時間=拘束時間から休憩時間を除いた時間
       (荷待ちなどの手空き時間、手待ち時間は労働時間に含まれます)
休憩時間=拘束時間の中で運転者の完全な自由が保障されている時間
       (仮眠時間は緊急電話番などを兼ねていない限り休憩時間に含まれます)
休息時間=終業時刻から次の始業時刻までの時間
       (職務と職場から完全に離脱出来る「拘束時間以外の時間」です)
休日   =休息8時間(隔日勤務の場合は休息20時間)とそれに継続する24時間
       (これは運転者だけに適用される特殊な規定です)
休日労働=1週間に1日の休日が確保出来ない所定休日労働
       (週休2日制における1日目の休日出勤は時間外労働です)
労使協定=全労働者の過半数を代表する者と会社との間で締結した書面による協定
       (時間外・休日労働に対する三六(サブロク)協定などが代表例です)

「拘束時間=労働時間+休憩時間」となります。

労使協定を締結して労働基準監督署に届出することの意味は、労働法令違反に対する罰則の適用を免れる“免罰効果”にあります。
ですので、実際に労使間において民事上の権利義務を発生させる為には、労働契約書及び就業規則にその旨(会社の残業・休出命令権)を定める必要が有ります。




トラック運転者特有の労働基準
トラック運転者の労働基準に関する「厚生労働省(旧労働省)の告示」の具体的な内容は、以下に掲げる通りです。


1.1ヶ月の拘束時間
1ヶ月の拘束時間は、原則として293時間以内でなければなりません。
但し、労使協定を締結・届出している場合は、1年のうち6ヶ月までは、1年間の総拘束時間が3516時間(=293時間×12ヶ月)を超えない範囲で、1ヶ月の拘束時間を320時間まで延長することが出来ます。
(要するに、労使協定を締結・届出することにより、繁忙期と閑散期の始業・終業時刻を柔軟に設定出来るようになります。)


2.1日の拘束時間
1日の休息時間は継続8時間以上でなければなりませんので、1日の拘束時間の延長は16時間が上限となります。
これは、トラック運転者の労働基準の絶対条件になっており、例えば1日の所定労働時間が8時間の場合、労使協定を締結しても、拘束時間の延長は8時間までしか出来ません。
更に、トラック運転者の場合はもう一つ制限が有って、1日の拘束時間が15時間を超える日は「1週間に2日」が限度になります。
(要するに、片道15時間を超える長距離往復輸送は1週間に1回しか出来ない、ということです。)
〈注意点〉
(1)ここで言う「1日」とは、「午前0時〜午後24時まで」を指すのではなく、「始業時刻から24時間」を指している、ということに注意して下さい。
ですので、始業時刻が毎朝○時と決まっている会社において、その始業時刻前に早出させた場合、その早出時間は、前日の拘束時間と当日の拘束時間の両方にダブルカウントされることになります。
(なぜなら、その早出時間は前日の始業時刻から24時間以内であり、尚且つその早出開始時刻は当日の始業時刻になってしまうからです。)
尚、早出時間をダブルカウントするのは1日毎の拘束時間を見る場合であり、1ヶ月毎の拘束時間を見る場合は、当然ながらダブルカウントはしません。

(2)1日の労働時間が8時間を超える場合、又は1週の労働時間が40時間を超える場合は、時間外労働の労使協定を締結・届出することが法律で義務付けられていますが、その時間外労働時間は、先述した「延長可能な拘束時間」の範囲内でなければなりません。

(3)先述しましたように、1日の休息時間は、原則として“継続”8時間以上でなければなりませんが、合計10時間以上の休息時間を付与することを条件に、1ヶ月間の全勤務日数の1/2の日数を限度として、継続4時間以上の休息時間を2回(以上)に分けて分割付与することも認められます。


3.休日付与の方法
原則として1週間に1日の休日を付与しなければなりません。
但し、休日労働の労使協定を締結・届出した場合は、「2週間に1日」又は「4週間に2日」であれば休日労働をさせることが出来ます。
〈注意点〉
(1)休日労働も、時間外労働と同様に拘束時間の延長に該当しますので、1ヶ月の拘束時間制限(320時間)の範囲内で、時間外労働時間と休日労働時間を協定する必要が有ります。

(2)休日は原則として継続32時間以上でなければなりませんが、2日以上連続して休日を付与する場合は、その休日2日目以降は継続24時間以上をもって休日とみなされます。

(3)休日の時間は、如何なる理由があっても、実際に継続30時間以上(連続休日2日目以降の場合は継続24時間以上)確保されていなければ、休日付与とは認められません。
これは、分割休息の特例、又は2人乗務の特例の適用を受ける場合も同様です。

(4)隔日勤務の場合は、勤務終了後に継続20時間以上の休息付与が必要なので、休日の時間は継続44時間以上確保しなければなりません。


4.運転時間の限度
1日の運転時間は、2日(始業時刻から48時間)毎の平均で1日9時間が限度です。
1週間の運転時間は、2週間毎の平均で1週44時間が限度です。
〈注意点〉
(1)連続運転は4時間が限度です。

(2)運転時間が4時間を超える場合は、4時間毎に30分(以上)の休憩時間を入れるか、又は4時間以内に10分以上の休憩を2〜3回(その分割休憩時間の合計が30分以上となるように)入れる必要が有ります。


5.2人乗務の特例
同乗者が(トラック走行中に)運送車両内で身体を伸ばして休息出来る場合、その運送車両で2人乗務(交代運転)を行なうときは、1日の拘束時間を最大で20時間まで延長出来ます。
また、この場合は、1日の休息時間を4時間まで短縮出来ます。


6.隔日勤務の特例
次に掲げる2つの条件を全て満たす場合は、運転者を隔日勤務させることが出来ます。
  ・2暦日における拘束時間≦21時間
  ・終業時刻後に継続20時間以上の休息時間付与
また、休憩睡眠施設で夜間に4時間以上の仮眠時間を付与する場合は、2週間に3回を限度に、上記の「2暦日における拘束時間」を最大で24時間まで延長出来ます。
但し、この場合でも、その2週間における総拘束時間は126時間以内にしなければなりません。


7.フェリー乗船時の特例
貨物輸送の途中でフェリーに乗船する場合、その乗船時間から2時間を控除した時間を、1日の休息時間に含めることが出来ます。
但し、2人乗務の場合を除き、「法定休息時間 − フェリー乗船による休息時間 ≧ フェリー下船時刻〜終業時刻までの時間の1/2」となる範囲内で、フェリー乗船時間の一部を1日の休息時間に含めることが出来る、という条件が有りますので、この条件を超える部分は1日の休息時間に含めることは出来ず、休憩時間となります。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所