労災事故対応支援サイトのTOPページへ

 労災保険の障害認定と障害等級の概要          

労災保険の障害認定
労働社会保険の障害給付には、労災保険の障害給付と社会保険(厚生年金・国民年金など)の障害給付の2種類があり、各々の保険制度で年金給付と一時金給付が定められています。
社会保険の障害給付の場合は、どんなに遅くてもその傷病の初診日から1年6ヶ月が経過した日に障害認定されることになりますが、労災保険の障害給付の場合は、原則としてその傷病が治癒しない限り障害認定はされません
「障害認定されない」とは、障害給付を請求することが出来ない、ということです。
上記で「原則として」と言っているのは、労災事故後の療養開始日から1年6ヶ月(以上)経過した時点で、療養(補償)給付と休業(補償)給付の両方を受けている場合は、「傷病状態等に関する届書」を労働基準監督署に提出することになっており、その届書で「労働能力喪失率100%」と判定されると、労働基準監督署長の職権で傷病(補償)年金という障害(補償)年金に準じた労災保険給付が支給されるからです。



労災保険の障害給付の特色
労災保険の障害給付は、先述しましたように、その傷病の治癒日以降でないと支給されない為、療養(補償)給付や休業(補償)給付と併給されることは絶対に有りません。
また、一旦治癒した傷病が再発した場合は、それ迄受給していた障害年金の受給権は消滅します。 
(傷病再発に対して再度労災保険を使って治療を行なうと、障害年金の支給が打ち切られる為、改めて休業(補償)給付を請求する必要があります。)
労災保険の障害給付の支給に大きく関わる「傷病の治癒」とは、その傷病が治ったことだけを指すのではありません。
傷病が治っていなくても、その症状が固定(安定)した場合、又はこれ以上の治療効果が見込めない場合も治癒に該当します。
傷病が治癒したか否かは、労災(指定)病院の主治医が判断し、政府がそれを認定することによって成立します。
労災(指定)病院の医師は労災保険給付の仕組みを熟知しているはずですので、社会保険(厚生年金・国民年金など)の障害年金請求の場合と異なり、障害給付の請求漏れは(通常は)起きません。



労災保険の障害等級の概要
労災保険の障害給付は、障害等級1〜7級の場合は年金給付となり、障害等級8〜14級の場合は一時金給付となります。
ですので、障害等級7級(給付基礎日額の131日分を毎年支給)と障害等級8級(給付基礎日額の503日分を1回支給して終了)の間には大きな格差があります。

労災保険の障害等級と厚生年金・国民年金の障害等級は全く別物です。
大凡の目安は、厚生年金・国民年金の障害等級2級が労災保険の障害等級5〜7級に相当します。
尚、労災保険の障害等級は、労働能力喪失率を基準としており、各障害等級の労働能力喪失率と支給額は以下の通りになっています。
障害等級 労働能力
喪失率
障害給付
の種類
障害(補償)給付の支給額 特別支給金
(1回支給)
第1級 100% 年金給付 給付基礎日額×313日分×毎年支給 342万円
第2級 給付基礎日額×277日分×毎年支給 320万円
第3級 給付基礎日額×245日分×毎年支給 300万円
第4級 92%以上 給付基礎日額×213日分×毎年支給 264万円
第5級 79%以上 給付基礎日額×184日分×毎年支給 225万円
第6級 67%以上 給付基礎日額×156日分×毎年支給 192万円
第7級 56%以上 給付基礎日額×131日分×毎年支給 159万円
第8級 45%以上 一時金給付 給付基礎日額×503日分×1回支給 65万円
第9級 35%以上 給付基礎日額×391日分×1回支給 50万円
第10級 27%以上 給付基礎日額×302日分×1回支給 39万円
第11級 20%以上 給付基礎日額×223日分×1回支給 29万円
第12級 14%以上 給付基礎日額×156日分×1回支給 20万円
第13級 9%以上 給付基礎日額×101日分×1回支給 14万円
第14級 5%以上 給付基礎日額× 56日分×1回支給 8万円
※給付基礎日額とは?
労災保険給付の支給額の基礎となる給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条で定められた計算方式に基づく「労災事故発生日以前3ヶ月間の平均賃金額」ですが、以下の点で平均賃金額とは異なる為、必ずしも平均賃金額=給付基礎日額となる訳ではありません。
(1)端数処理において、平均賃金額は銭単位未満切捨て処理となりますが、給付基礎日額は1円未満の端数は全て切上げ処理されます。
(2)3ヶ月の算定期間の中で、私傷病(風邪など)又は親族看護による休業期間などがある場合は、その休業期間とその期間中の賃金は除外して給付基礎日額が算定されます。
(3)労災事故発生後、年数が経過すれば当然賃金額の貨幣価値が変動しますので、給付基礎日額はそれに合わせてスライド改定されます。


賞与の逸失に対しては障害特別年金又は障害特別一時金を別途支給
賞与の逸失に対しては、障害等級7級以上の者には障害特別年金、障害等級8級以下の者には障害特別一時金という特別支給金が別途支給されます。
障害特別年金又は障害特別一時金の支給額は、原則として労災事故発生日以前1年間の賞与総額(但し150万円が上限)を365で除した額を算定基礎日額とし、その算定基礎日額に各障害等級の給付日数(313日分〜56日分)を乗じた額です。





労災保険の障害認定の基準
どういう障害状態であれば労働能力喪失率が56%以上(年金給付)となるのか? 誰しも疑問に思うところです。
そこで、労災保険法では約140類型の障害状態が第1級〜第14級の障害等級表に規定されており、実際の障害認定においては、この障害等級表を基にした障害認定基準に基づき、該当する障害等級が決定されています。
以下に、害の部位毎の障害等級表を列挙しますので、その内容を知りたい方は該当する部位をクリックして下さい。
(1)眼の障害
(2)耳の障害
(3)鼻・口の障害
(4)神経系統の機能又は精神の障害
(5)頭部・顔面部・頸部の障害
(6)胸腹部臓器の障害
(7)脊柱及びその他の体幹骨の障害
(8)上肢の障害
(9)下肢の障害



障害等級の決定(又は変更)の方法
労災保険の障害給付に対する障害認定においては、医師の医学的証明(診断書の記載内容)が絶対視されており、労災(指定)病院の医師が作成する診断書に基づき該当する障害等級が決定されます。
また、障害等級7級以上に該当して年金給付を受給する者は、その受給者の生年月日に応じて毎年「定期報告書」を提出することになっており、その「定期報告書」に添付された医師の診断書に基づき、障害の程度が増悪又は軽快したと認められる場合は、該当する障害等級が変更されます。

「定期報告書」について
社会保険(厚生年金・国民年金など)の「現況届」とは異なり、提出日は以下の2回に集約されています。
1月〜6月生まれの被災労働者の場合は5月末迄に提出
7月〜12月生まれの被災労働者の場合は10月末迄に提出


尚、障害等級8級以下で一時金給付を受給した者は、その後どんなに障害の程度が悪化しても、原則として障害等級の変更は行なわれません
(これは、一時金給付を受給すると、その時点でその障害については“労災保険給付の支給は終了した”という取扱いになる為、その後「定期報告書」などで障害の程度の増悪を訴えることが出来ないからです。)


併合と併合繰上げ
同一の労災事故により2つ以上の障害を有した場合は以下の取扱いとなります。
(1)併合
障害の1つが障害等級14級に該当する場合は、重い方の障害等級がそのまま適用されます。 (平たく言いますと14級障害は無視されます。)
(2)併合繰上げ
13級以上の障害を2つ以上有する場合は、その最も重い障害等級が1〜3級繰上げされます。 具体的には、8級以上の障害が2つ以上有れば2級繰上げ、5級以上の障害が2つ以上有れば3級繰上げ、それ以外の場合が1級繰上げとなります。


加重
労災事故により、既存障害(先天性の障害も含む)の同一部位に対して更に障害の程度を悪化させた場合は、障害等級は労災事故後の障害等級が適用されますが、その支給額は、原則として「既存障害の障害等級に基づく障害給付相当額を控除した額」が支給されます。

既存障害も労災事故によるものである場合は、既存障害と加重後の障害は各々給付基礎日額が異なる為2本立ての障害給付が支給されることになります。

「一時金給付を一旦受給してしまうと、その後どんなに障害の程度が悪化しても、原則として障害等級の変更は行なわれない」と前述しましたが、一時金給付受給後にその傷病が再発し、再度療養(補償)給付と休業(補償)給付を受給した場合は、その傷病が再治癒した時に従前の障害等級より重い障害等級に該当した場合に限り、この加重規定が適用されます。





                                戻る 





愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所