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     通勤災害の労災認定の基準           

通勤災害の対象となる「通勤」とは?
労災保険法では、通勤災害の「通勤」の定義を以下のように規定しています。
「労働者が、就業に関し住居就業場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること。 但し、業務の性質を有するもの(出張など)を除く。」
1.「就業に関し」
就業に関する住居〜就業場所間の往復と認められる為には、概ね始業時刻前2時間以内の出社、又は終業時刻後2時間以内の居残りに伴う移動であることが条件のようです。
尚、通勤は1日に1回とは限らず、複数回の通勤も認められますが、休日に会社へ忘れ物を取りに行く途中の事故は通勤災害とはなりません。
2.「住居」
労働者本人の自宅のみならず、家族を看護する為に寝泊りしている病院、やむを得ない事由により宿泊したホテルなども住居として認められます。
但し、飲み会で遅くなり終電が無くなったので泊めてもらった同僚の家などは住居として認められませんので、翌朝の通勤途中に事故に遭っても通勤災害とはなりません。
3.「就業場所」
営業職など外勤者の場合は、最初の訪問先から最後の訪問先迄がその間の移動も含めて全て就業場所となります。
4.「合理的な経路と方法」
通勤途中でパチンコや買い物などの寄り道をしたら、その瞬間から通勤ではなくなります。
但し、その寄り道が病院での診療、独身者の日用品購入、要介護状態の親族介護など「必要最小限度の日常生活上必要な行為」と認められた場合は、その寄り道後に元の通勤経路に復した後の事故は通勤災害として労災認定されます。
また、原則として通勤途中の逸脱時間又は中断時間は通勤中とはなりませんが、その逸脱・中断が用便や駅の売店での新聞購入など「ささいな行為」と認めれらた場合は、そのわずかな逸脱・中断時間は通勤中として認められます。

ここで言う「逸脱」とは本来の通勤経路からの離脱を意味し、「中断」とは通勤行為からの離脱を意味します。



平成18年4月施行の労災保険法改正
平成18年4月に労災保険法の一部が改正され、二重就労者と単身赴任者に対する通勤災害の適用範囲が拡大されました。 以下はその概要です。

【二重就労者の通勤災害について】
従来の通勤災害制度では、通勤とは「住居」と「就業場所」との間の往復に限られていた為、二重就労者が事業所(会社)間を移動する途中で被災した場合は通勤災害に該当せず、労災保険の適用が受けられないという問題が有りました。
今回の法改正では、これを改め、
(1)第一事業所(会社A)から第二事業所(会社B)へ直接移動
(2)当該移動中に私的行為が一切介在していない
という条件を満たす場合は、通勤災害の対象に含まれることになりました。
尚、この場合における労災保険給付手続きは、当然ながら第二事業所(会社B)の労災保険を使うことになり、被災労働者の給付基礎日額も第二事業所(会社B)から支払われた賃金額を基に算定されます。

第一事業所(会社A)が就業規則等で二重就労を禁止している場合、第一事業所(会社A)にとっては、第二事業所(会社B)での就労自体が社内規則違反であり、また、第二事業所(会社B)への移動中の事故は、単なる“その労働者の私傷病”に過ぎないということに注意が必要です。


【単身赴任者の通勤災害について】
従来の通勤災害認定基準では、単身赴任者の通勤災害認定は非常にハードルが高い(=世の中の単身赴任者の実情に合致していない)、というのが実態でした。
この問題も、今回の法改正により、以下のように改められました。
(1)赴任先住居から帰省先住居への移動については、勤務日当日又はその翌日に行なわれたものは原則として通勤とみなす
(2)帰省先住居から赴任先住居への移動については、勤務日当日又はその前日に行なわれたものは原則として通勤とみなす
これにより、会社から一旦赴任先の住居へ戻り、その翌日に家族の住む帰省先住居へ移動する途上の事故も、その住居間移動がある程度反復継続性を有しているものである限り、通勤災害として認められるようになりました。



通勤災害の労災認定に関する注意点
通勤災害の労災認定について、よく勘違いされている注意点を以下に列挙します。
(1)通勤災害として労災認定される為には、通勤経路途上に内在する危険が具現化した為に起きた事故であることが条件となります。
例えば、朝の通勤ラッシュ時に後ろから押されて転倒した場合、女性が深夜に帰宅する途中にストーカーに襲われた場合、マイカー通勤者の交通事故などです。
会社に遅刻しそうになったので急いでいたら転んでケガをした、というだけでは通勤災害とはならないのです。
また、持病の心疾患の発作から階段で転倒してケガをした場合のように、労働者本人に直接の原因があり、それが偶然事故を誘発した場合も通勤災害とはなりません

(2)会社のマイクロバスで出勤する途中の交通事故は通勤災害ではなく業務災害です。
なぜなら、会社のマイクロバスに乗っていること自体、事業主の支配下(管理下)にいるからです。

(3)通勤途中で親切心から困っている人を助けようとして巻き込まれた事故は、原則として通勤災害とはなりません。 (これは業務災害の労災認定基準と同じ理屈です。)

以前、JR山の手線の新大久保駅でホームから落下した人を助けようとして電車に轢かれた事故が労災認定され、新聞紙上で話題になりましたが、これは「世論に動かされた労災認定」であり、非常に特殊なケースです。

(4)会社の就業規則でマイカー通勤が禁止されているにも関わらず、勝手にマイカー通勤して交通事故に遭った場合、そのマイカー通勤という通勤方法が客観的に合理性有りと認められれば通勤災害として労災認定されます。
政府が労災認定するか否かは、私人間(=会社と労働者の間)の契約内容に影響されません。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所