法人税制改正による役員報酬の取扱い変更
●
同族会社は要注意の法人税制度の改正
新会社法の施行により、個人事業の小資本法人化が容易になることから、経費のダブル控除による“節税目的の法人設立”が増えることが予想される為、昨年、税務当局は先手を打って、「平成18年度の税制改正大綱」に以下のような規定を盛り込みました。
「同族会社の業務を主宰する役員及びその同族関係者等が、発行済み株式総数の90%以上の株式を有し、且つ常務に従事する役員の過半数を占める場合等には、当該業務を主宰する役員に対して支給する給与のうち給与所得控除に該当する部分として計算される金額は、損金の額に算入しない。」
要するに、これからは
一定の条件に該当する同族会社の場合は、そのオーナー経営者などの役員報酬に対して、給与所得控除という概算経費分にも法人税が課される
、ということです。
この法人税制度の改正は、平成18年4月1日以降に開始される事業年度から適用されます。
●
役員給与の給与所得控除相当額は損金不算入
今回の法人税制度の改正により、一定の条件に該当する同族会社において、損金に算入出来なくなる給与所得控除額は、以下の表に掲げる通りです。
年間の給与(報酬)額
給与所得控除額
180万円以下
(省略)
180万円超〜 360万円以下
年間の給与額 × 30% + 18万円
360万円超〜 660万円以下
年間の給与額 × 20% + 54万円
660万円超〜1000万円以下
年間の給与額 × 10% + 120万円
1000万円超〜
年間の給与額 × 5% + 170万円
※通勤手当などは、給与額から除外出来ます。
上記の表でもお分かりのように、例えば、会社から毎月100万円の役員報酬を受ける場合、その役員の年間給与額のうち、「1200万円×5%+170万円=230万円」については、今後は損金に算入することが出来ず、法人税が課されます。
要するに、
従来の「法人成り」の大きなメリットの一つが消滅したことになり、今回の税制(増税)改正は、既存の同族会社にも影響大!です
。
(日本の場合、中小企業の大半はガチガチの同族会社ですので。)
●
今回の法人税制度改正の適用を回避するには
先述した「役員給与の給与所得控除額損金不算入」の規定には、次に掲げるような適用除外の条件が別途定められています。
【適用除外の条件】
直前3年以内に開始された各事業年度の「法人所得の平均額」と「同族役員の役員報酬の平均額」の合計額が、
(1)800万円以下の場合
又は
(2)800万円超〜3000万円以下で、且つその合計額の中に占める「同族役員の役員報酬の平均額」の割合が50%以下の場合
※
平成19年4月以降に開始される事業年度から、上記の「800万円」が「1600万円」に引き上げされます。
この適用除外の条件を満たせば問題無いですが、そうでない場合は、以下に述べるような対応策を事前に講じておく必要が有ります。
1.
オーナー経営者とその同族役員の持株比率を90%未満にする
又は
2.
同族役員以外の役員を増やして、同族役員の割合を常勤役員数の50%未満にする
新会社法施行後に会社を設立する場合、親族などに“名目だけの役員”になってもらう意味は有りませんので、会社を設立する時に、上記
1
の条件に該当するようにしておくことが、現実的な対応策ではないか、と考えます。
●
役員賞与も事前に税務署へ届出すれば損金算入可能
従来は、役員賞与は(使用人兼務役員の使用人職務に対する賞与を除き)損金不算入が原則でしたが、新会社法で役員報酬と役員賞与の取扱いが統一されたことに伴い、「事前確定届出給与」又は「非同族会社における利益連動給与」に該当する場合は、役員に支給する賞与も損金に算入出来ることになりました。
一般の中小企業で、有価証券報告書の作成・開示と報酬委員会の設置が前提条件となる利益連動給与を支給することは現実的ではありませんが、「役員の業務執行開始日」又は「事業年度開始日から3ヶ月経過する日」のうち早く到来した日迄に、所轄の税務署に対して、定期同額給与を含めた役員報酬の支給明細を全て開示する「事前確定届出給与の手続き」を行なった場合は、その届出した役員賞与も損金算入可能です。
(但し、事前に届出した額と実際の支給額が異なる場合は、実際の支給額の全額が損金不算入となりますのでご注意下さい。)
戻る
愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所