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            社会保険料の節約術

バカにならない社会保険料
社会保険料は、健康保険料(40〜64歳の人は介護保険料を加算)と厚生年金保険料の2つです。
社会保険料は、毎月、光熱費のように銀行の指定口座から自動引き落としされていますので、実際にいくら納めているのか、今迄あまり気にしたことは無いかも知れませんが、1年間に納付した社会保険料の総額を算出すると、ほとんどの社長さんは「・・・・・・・・・・」となります。

例えば、年収500万円の社員を20人雇用している会社の場合、1年間に納める社会保険料は、この20人分だけで約2,800万円になります。
社会保険料は労使折半負担ですので、会社の負担額は1,400万円です。
この会社が負担した社会保険料で、年収500万円の社員を更に2人雇うことが出来てしまいますね?
あなたの会社では、1年間に総額でいくらの社会保険料を納めていますか?


現在、愛知県の場合、健康保険料率は9.97%(40〜64歳の人は介護保険料率が加算されて11.52%)、厚生年金保険料率は17.12%です。
然も、ご存知のように、厚生年金保険料率は平成29年迄毎年0.354%ずつアップしていくことが決まっています。(平成29年以降は18.30%に固定される“予定”ですが、本当にそうなるのか、現時点では分かりません。)
つまり、その会社の年齢構成にもよりますが、役員・社員に支払った報酬の約28%の社会保険料を、毎月及び賞与支給の都度、政府に納めていることになるのです。

このように労働保険料と比べて桁違いに高額な社会保険料ですが、ちょっとした“工夫”をするだけで、数十人規模の会社でも、年間で100万円単位の社会保険料を節約出来る場合があります
以下に、その「社会保険料の節約方法」をご紹介します。



毎月納付する社会保険料の節約方法
毎月納付する社会保険料は、原則として4〜6月に支払った給与にその後1年間拘束されます。 よって、4〜6月(給与を翌月に支払っている場合は3〜5月)に残業や休日出勤が多いと社会保険料においては大きく不利になります。
また、基本給や諸手当などの固定給が変動し、尚且つ3ヶ月平均の給与額が2等級以上変動すると、月変(随時改定)該当となり、4ヶ月目から社会保険料が変更されます。
毎月納付する社会保険料を節約する為には、まず「7月1日の算定」と「月変」の仕組みを理解することが重要です。

それでは、以下に毎月納付する社会保険料の節約方法をいくつかご紹介します。
1.標準報酬月額の各等級に対する“給与額の幅”に注意
例えば、給与が424,999円(健保27等級、厚年23等級)の場合と、425,000円(健保28等級、厚年24等級)の場合では、給与額自体はたった1円の差ですが、納付する社会保険料は1年間で約103,000円の差が生じます。
また、425,000円の給与の社員と454,999円の給与の社員は、約3万円の差額が有りますが、1年間に納付する社会保険料は全く同額です。
よって、給与額を決定又は変更する場合は、標準報酬月額の各等級に対する給与額の幅を意識してその額を決定する必要があります。
(実際に1年間の社会保険料累計を計算してみれば分かりますが、これは結構馬鹿になりません。)


2.昇給は7月(以降)に支払う給与で実施
これは、4〜6月に支払う給与で昇給を行なうと「算定」の対象になってしまう為です。
7月に支払う給与で基本給や諸手当の昇給を行なえば、その昇給額が社会保険料に反映されるのが“1年遅れ”になります。


3.精勤手当などの出来高給は奇数月に隔月支給
精勤手当などの出来高給は、出勤率などの計算期間を2ヶ月間にして、奇数月の給与で支給します。 なぜ奇数月か?と言いますと、偶数月に支給するより、4〜6月の給与を対象とする「算定」で有利になる為です。
また、社会保険料とは関係有りませんが、出来高給の計算期間を合理的な理由により2ヶ月間にして隔月支給しますと、その手当を割増賃金の計算対象賃金から除外することが出来ます。


4.育児休業月変の有効活用
中小企業で育児休業が頻繁に行なわれるケースは稀だと思いますので詳細は割愛しますが、育児休業取得後に何らかの理由で給与が減った場合、わずか1等級の変動でも月変の届出を行なうことが出来ます。
また、この育児休業取得後の月変は、固定的賃金の変動も要件とされていませんので、残業代などの変動給が減った場合でも、3ヶ月平均の給与額が1等級変動すれば月変の届出が出来ます。
更に、「標準報酬月額の特例の申出」を行なえば、将来の厚生年金額の計算においては、従前(育児休業前)の標準報酬月額で年金額が計算される、という特例の適用が受けられます。



その他の社会保険料節約方法
1.正社員の中途採用は2ヶ月の有期雇用で!
「中途採用で正社員を雇入れて、社会保険の被保険者資格取得手続きをしたものの、その社員がすぐに会社を辞めてしまった・・・・・。」
こんな経験は有りませんか?
中には「試用期間中は社会保険には加入させない」と言う事業主の方がいますが、試用期間か否かという区別はその会社内における社員の身分上の取扱いに過ぎず、試用期間中の社員を社会保険に加入させないことは法律違反です。
よって、実際の就労を通じて技術・能力や適性・勤務態度などを評価し、正社員として採用するか否かを判断したい場合は、2ヶ月の雇用期間を定めた有期雇用契約を締結することが有効です。
なぜ2ヶ月か?と言いますと、「2ヶ月以内の期間を定めて新たに雇用された者は社会保険適用除外」ということが、健康保険法第13条及び厚生年金保険法第12条で明確に定められているからです。
(但し、明らかに「2ヶ月遅延の社会保険適用」を目的とした“形式だけの2ヶ月契約”は、年金事務所の事業所調査の際に脱法行為とみなされますので、ご注意下さい。)


2.賞与を支給する前に残業代の全額支払いを!
「毎年賞与を出しているが、日々の超過勤務に対する残業代をキッチリ支払っていない。」
こんな会社は、今すぐ定期賞与の支払いを止めて(又は減額して)、その賃金原資を残業代として支払うべきです。
社員に賃金を支払う事業主側から見ると、賃金を“残業代”として支払っても“賞与”として支払っても、「名目が違うだけで同じじゃないか」と思われるかも知れませんが、年金事務所のみならず労働基準監督署などの行政官庁の事業所調査では、この「名目」が非常に重要なのです。
残業代は労働基準法で会社に支払いが義務付けられた賃金ですが、賞与はそうではありません。
また、賞与は(例え「寸志」、「臨時手当」という名称で支払っても)社会保険料の徴収対象ですが、残業代などの変動給の増加は社会保険料の月変対象にはなりません。
毎年2回、社員に賞与を支給している会社が、労働基準監督署から残業代不払いの是正勧告を受ける。 こんな馬鹿げたことは避けて下さい。





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